○二戸市環境基本条例
平成18年1月1日条例第132号
私たちのまち二戸は、馬淵川や折爪岳をはじめとする豊かな自然、東北最古の名刹天台寺や豊臣秀吉の天下統一に当たって最後の合戦場となった九戸城跡、良質な漆を使った浄法寺塗などに代表される歴史ある文化、さらに多くの先人から伝えられてきた英知とたゆまぬ努力を二戸市の宝として位置づけ、この恵まれた環境の下に、今日まで着実に発展してきた。
しかしながら、私たちに物質的な豊かさや利便性をもたらした社会経済活動は、一方で環境への負荷を著しく増大させ、岩手・青森県境にまたがる国内最大規模の産業廃棄物不法投棄現場となって現れているように、身近な生活環境のみならず地球環境さえも脅かしている。
私たちは、私たち自身も自然の中の生態系の一員であることを自覚し、恵み豊かな自然との共生を図りながら、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会を構築するとともに、人類共通の課題である地球環境の保全に寄与していかなければならない。
このような認識の下に、市、事業者及び市民すべてが協働して、二戸の持つ優れた環境を積極的に保全し、新たな潤いと安らぎのある環境を創造しながら将来の世代に継承していくため、この条例を制定する。
二戸市環境基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 環境の保全及び創造に関する施策の基本方針等(第7条―第9条)
第3章 環境の保全及び創造に関する基本的施策(第10条―第23条)
第4章 環境審議会(第24条―第29条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、環境の保全及び創造について、基本理念を定め、並びに市、事業者及び市民の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の市民の健康で安全かつ快適な生活の確保に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
(2) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに、市民の健康で安全かつ快適な生活の確保に寄与するものをいう。
(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。
(基本理念)
第3条 環境の保全及び創造は、すべての市民が健康で安全かつ快適な生活を営むことができる恵み豊かな環境を確保し、又は人の活動による環境への負荷によって著しく損なわれた環境を再生し、これを将来の世代に継承していくことを目的として行われなければならない。
2 環境の保全及び創造は、人と自然が共生し、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会の構築を目的として行われなければならない。
3 環境の保全及び創造は、すべての者がそれぞれの責務を自覚し、適切な役割分担の下に自主的かつ積極的に行われなければならない。
4 地球環境保全は、人類共通の課題であり、すべての者が自らの問題として認識し、それぞれの事業活動及び日常生活において自主的かつ積極的に行われなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全及び創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、実施する責務を有する。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずる公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。
2 前項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。
(市民の責務)
第6条 市民は、基本理念にのっとり、その日常生活に伴う環境への負荷の低減その他環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。
第2章 環境の保全及び創造に関する施策の基本方針等
(施策の基本方針)
第7条 市は、環境の保全及び創造に関する施策を策定し、実施するに当たっては、基本理念にのっとり、次に掲げる事項を基本として、事業者及び市民との協力の下に各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ、総合的かつ計画的に推進するものとする。
(1) 市民の健康を保護し、及び生活環境を保全し、並びに自然環境を適正に保全するよう、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素を良好な状態に保持すること。
(2) 野生生物の種の保存その他の生物の多様性の確保を図るとともに、森林、農地、水辺地等における多様な自然環境を保全すること。
(3) 人と自然との豊かな触れ合いを確保するとともに、潤いのある景観の保全及び創造並びに歴史的な文化遺産の保存及び活用を図ること。
(4) 人の活動による環境への負荷によって著しく損なわれた環境の再生を図ること。
(5) 廃棄物の減量、エネルギーの有効利用、資源の循環的な利用等を図ること。
(環境基本計画)
第8条 市長は、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、二戸市環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。
2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 環境の保全及び創造に関する目標
(2) 環境の保全及び創造に関する総合的かつ長期的な施策の方向
(3) 前2号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ事業者及び市民の意見を反映することができるように必要な措置を講ずるとともに、二戸市環境審議会の意見を聴かなければならない。
4 市長は、環境基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。
(年次報告書)
第9条 市長は、毎年、環境の状況、市が講じた環境の保全及び創造に関する施策の実施状況等を明らかにした報告書を作成し、これを公表しなければならない。
第3章 環境の保全及び創造に関する基本的施策
(施策の策定に当たっての配慮等)
第10条 市は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、実施するに当たっては、環境の保全及び創造について配慮するとともに、環境基本計画との整合を図らなければならない。
(環境影響評価の推進)
第11条 市は、土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行う事業者が、その事業の実施に当たり、あらかじめその事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測又は評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境の保全について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(規制の措置)
第12条 市は、公害の原因となる行為その他の環境の保全上の支障を防止するため、必要な規制の措置を講ずるように努めるものとする。
(誘導的措置)
第13条 市は、環境への負荷を生じさせる活動又は生じさせる原因となる活動を行う者がその活動に係る環境への負荷の低減を図るための施設の整備その他の適切な措置をとるように誘導し、環境の保全上の支障を防止するため、必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(公共的施設の整備等)
第14条 市は、下水道、廃棄物の公共的な処理施設その他の環境の保全上の支障の防止に資する公共的施設の整備及び森林の整備その他の環境の保全上の支障の防止に資する事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
2 市は、公園、緑地その他の公共的施設の整備その他の自然環境の適正な整備及び健全な利用のための事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
(廃棄物の減量の推進等)
第15条 市は、環境への負荷の低減を図るため、廃棄物の減量、エネルギーの有効利用、資源の循環的な利用等が推進されるように必要な措置を講ずるように努めるものとする。
2 前項に定めるもののほか、市は、環境への負荷の低減に資する製品、原材料、役務等の利用が促進されるように必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(教育及び学習の推進等)
第16条 市は、事業者及び市民が環境の保全及び創造についての理解を深めることにより、これらの者が自発的に行う環境の保全及び創造に関する活動を促進するため、環境の保全及び創造に関する教育及び学習の推進並びに広報活動の充実その他の必要な措置を講ずるものとする。
(自発的活動の促進)
第17条 市は、事業者、市民又はこれらの者の組織する民間の団体(以下「民間団体等」という。)が自発的に行う環境の保全及び創造に関する活動が促進されるように必要な措置を講ずるものとする。
(情報の収集及び提供)
第18条 市は、環境の保全及び創造に関する情報の収集に努めるとともに、環境の保全及び創造に資するために必要な情報を適切に提供するように努めるものとする。
(民間団体等の参加)
第19条 市は、環境の保全及び創造に関する施策の推進に当たっては、民間団体等の参加に関し必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(調査の実施)
第20条 市は、環境の保全及び創造に関する施策の策定に必要な調査を実施するものとする。
(監視等の体制の整備)
第21条 市は、環境の状況を把握し、並びに環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するために必要な監視、巡視、測定等の体制の整備に努めるものとする。
(国及び他の地方公共団体との協力)
第22条 市は、広域的な取組みを必要とする環境の保全及び創造に関する施策については、国及び他の地方公共団体と協力し、その推進に努めるものとする。
(地球環境保全に関する国際協力)
第23条 市は、国、他の地方公共団体、民間団体等その他の関係機関と連携し、地球環境保全に関する国際協力等の推進に努めるものとする。
第4章 環境審議会
(環境審議会)
第24条 地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項及び環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、二戸市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項の調査審議を行う。
(1) 環境基本計画に関すること。
(2) 前項に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する基本的事項
3 審議会は、環境の保全及び創造に関する基本的事項に関し、市長に意見を述べることができる。
(組織)
第25条 審議会は、委員12人以内をもって組織し、委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 知識経験を有する者
(2) 関係行政機関の職員
(3) 各種団体の役職員
(4) その他市長が必要と認める者
2 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(会長及び副会長)
第26条 審議会に会長及び副会長1人を置き、委員の互選とする。
2 会長は、会務を総理し、会議の議長となる。
3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。
(会議)
第27条 審議会は、市長が招集する。
2 審議会は、委員の半数以上が出席しなければ会議を開くことができない。
3 審議会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
(庶務)
第28条 審議会の庶務は、市民部環境推進課において処理する。
(委任)
第29条 この条例に定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、会長が審議会に諮って定める。
附 則
この条例は、平成18年1月1日から施行する。
附 則(平成19年3月20日条例第6号抄)
(施行期日)
1 この条例は、平成19年4月1日から施行する。
附 則(平成23年3月22日条例第3号)
この条例は、平成23年4月1日から施行する。
附 則(平成31年3月14日条例第3号抄)
(施行期日)
1 この条例は、平成31年4月1日から施行する。
附 則(令和6年3月14日条例第3号抄)
(施行期日)
1 この条例は、令和6年4月1日から施行する。